dobochon’s diary

宮原清の夢日記

2008-01-01から1年間の記事一覧

「市民プール」swimming pool

9月に入り プールが終いとなって一週間と経たないうちに 水は抹茶のような緑色に変わった。 今や粘度の高くなった水は重く、飛沫すら上がらない。

「眼光」 Penetration

青果市場の食堂の娘は眼光凄まじく、 喧嘩を売られているのではないかと思ってしまう。 今日も、そのまま京劇の舞台にでも出てもおかしくないほどの 強烈な視線をそこいら中に放ちながら 俺の席まで注文をとりにきた。

「カマキリ」 Mantis

カマキリを見ていると、 虫は草から生まれたのだと昔の人が考えたのもつくづくうなずける。 そう考えた方が納得がいく、とさえ思う。 そういうことにしておいても俺のいる世界は何の問題もなさそうだ。

「膝に爆弾を」 The bomb to the knee

抱えた男。

「時間旅行」 Time travel

間違えて各駅停車に乗ってしまったせいで 30分で着くところを3時間かけて帰るハメに。 快速急行はタイムマシンか!? '

「モノ・レール」

跨座式のモノレールは思いの外、車高が高くて、 普通の電車の2倍とまではいかないまでも、レールのかなり下まで伸びている。 モーターなどの装置を下に設置することで重量バランスを取りやすいし、 人の乗るスペースも広くとれるからだろう。 いっそのこと、…

「再会」

奴がやって来る。 そうお母さんが言うのだからきっと間違いない。 俺は嬉しいやら怖いやらでしばらくオロオロしていた。 結局会うのが怖くなって 自転車に乗って、太平洋岸まで逃げることにした。 しばらく走って、 靴を履いていないことに気がついたがもう…

「Walk like the Elephant」

「うまく歩けない」というより、 「歩き方そのものを忘れてしまったのではないか」と思うことがある。 何かを拍子にして、急に自分の歩行が自分のものではなくて まるで他人の身体を無理矢理動かしているような・・・ だから一旦そうなると、糸の絡んだ操り…

「キャタツ」

トンネルは暗く、コンクリートの天井からは水が滴っている。 途中に銀色の高い脚立が置いてあり、その上方に目を凝らすと 天井には人がやっと一人入れるくらいの亀裂があった。 俺は迷わず脚立にのぼり、その亀裂に頭を突っ込む。

「宴会プラン」

鍵のかかった格子戸。 その奥の部屋の中央に 高さ2メートルはあろうかという、瀬戸物の徳利が一本。 あとは何もないが 時折誰かが格子越しに肴を差し入れてくれる。

「3つのノルマ」

「お主んとこは・・・・」 身を潜めていた俺に、 町内会のおばばが切り出した。 俺は、かねがね 自分が属することのできる世界は 同時に3つくらいまでが限界だと思っている。 その3つの世界ですら、順調に運営されているわけではなく 常にいろんな問題を抱え…

「米の服」

炊きたてのお米を 石の台の上に広げ、 手のひらで平たくなるまで押す。 米の粒が潰れきっててしまわないように気をつけながら 軽く油を塗った綿棒を使って生地をゆっくりと延ばす。 ある程度の薄さになったら、 陰干しして半乾きの状態にする。 それを手で千…

「マフラー」

夜な夜な 寝ているあいだに どこからともなくやってきて 俺の首にマフラーを巻いていく奴がいる。 しかもそのマフラー、俺のじゃなくて友達のだ。 「なんだか友達の人生しょいこむみたいな気分になるからやめてくれよ」 と頼むのだが、そいつは 「いいじゃな…

「アケミ」

即身仏のアケミが 「東京に来ているので飲みに行こう」 というので、 神楽坂へ繰り出す。 アケミとは学生時代に平泉で知り合って以来の付き合いだが これがまた酒好きの女で、一緒に飲むと 大概俺の方が先に酔いつぶれてしまうほどだ。 ただ、なにせ即身仏な…

「カラーピッカー」

俺は“カラーピッカー” その名のとおり 「これしかない」という色を 「ここしかない」という場所に配置していく「プロ」なのよ。 しかし実際のところ、 32.000色から選べと言われてもなあ。 12色のクレヨンで育った俺だ。 え!? なに、32.000色じゃなくて 16.7…

「後先になっちゃったけど」

猿と俺の関係は 俺の探偵事務所の「俺と猿」の関係だ。今回の任務はレインボーブリッジ上空から 船の秘密を撮影するという難しい仕事で 今回はコバンザメ号を使った。 2台の飛行機が合体していて途中で分離するのだ。 1号に猿、2号に俺が乗り、 いろんな角度…

「生クリーム」

「よくやった」 俺は助手の猿に褒美をやることにした。 彼の好物は生クリームのたっぷり乗ったヴィオロンケーキだ。 美味そうにケーキを食べる猿を見ていたら不覚にもヨダレが出てきた。 優秀な俺の助手は、俺が唾を飲み込む音を聞き逃したりしない。 すると…

「ハム」

スーパーの精肉部に配属された与一。 ハムをスライスする機械が恐ろしくて仕方がない。 なにしろ光速で回転する円形のカッターが4枚。 それが角度を変えながら四ツ巴となって交差するのだ。 シュンシュンと金属音を上げるスライサーの横で どうにもできずに…

「線香花火」

「ジ・・・・ジジ・・・」 溜め込むような音に混じって 時折「バチッ」と弾ける音。 それは隣の運動公園の拡声器から聞こえてくるみたいだ。 「線香花火の音だ」 最初はそう思った。 夏の夕暮れに線香花火の音を流すとは なかなか粋な計らいと思いきや 行っ…

「週末の終電車内で」

ストレッチ

「ちょっとした気配り」投稿:東久留米市在住・男

西武新宿駅は進行方向先端に改札があるので駅を利用するときには先頭車両に乗ることが多く、そんな時はいっそのこと運転席の手前まで行って、見るともなしにさまざまな装置の鈍い鋳物の光り具合などを眺めているのが好きだ。そこには必ず同じような考えの奴…

「レンガ工場の街」

その街の道路もレンガを運ぶトラックも立木も、 みんなレンガ色だった。 レンガを焼く煙が無数の煙突から立ち上っている。 どの工場も、一階は人の立ち入る領域ではないので 人々は建物の2階から隣の2階へと、 高所移動車で移動するのだが この移動車という…

「マキ子」

「遅くまでお仕事、大変ね」 初対面だというのに、女は臆面もなく話しかけてきた。 今日は検問の多い日だった。サミットが近いかららしい。 現場が終わっての帰り道、田無のあたりを過ぎた頃には とうに12時をまわっていたが、まだ検問はあちこちで 行われて…

「確率4分の1」

「表か裏か」で2分の1。 「前か後ろか」で、その半分の4分の1。 Tシャツをまともに着ることができる確率。

「みやげ」

みやげに貰った手焼きのCDには 梅雨の湿った空気に染みる曲が15曲。 奴が並べた音の思惑に、 明け方の薄明かりが紫色の味付けをするものだから

「日本返却学会」

なる所から封書が届いた。 名刺といっしょに同封されたビニール袋に入っていたものは ・伸びきったクリップ ・パンチで抜いた後に出る、いろんな色の丸い紙 ・輪ゴム ・アクリル球 ・ホチキスの玉 ・タバコの吸い殻 などである。 ビニール袋にはラベルが貼っ…

「バモラ工法」

今日も今日とて歯医者へ行く。 俺の歯とアゴの病状は 温暖化の影響もあって相当やばいところまで来ているらしく、 もはや手術をしなくてはダメみたいだ。 門松医師は、 アゴの骨と歯の関係を19世紀のガラス建築に例えた上で (さっぱりわからなかったが) 昆…

「うさ晴らし」

面白くないことが続くので 仕事場で同僚にヒザカックンをしてやった。 ゆかいゆかい。

「約束の時間」

「そろそろ来るころだが」 そう思って家の外に出てみると 一台の車が停まっている。 運転席にはサイドミラー越しにぼんやりと空を眺めている奴がいた。 家の前のジャリ道を鳴らすタイヤの音に気づかなかったところをみると ずいぶん前に着いていただろうに。…

「呪文」

「サラ・ディ・サラ・ドゥ。サラ・ディ・サラッド」 サラダを食べる時はいつもこう唱えながら食べる。