dobochon’s diary

宮原清の夢日記

2006-12-01から1ヶ月間の記事一覧

「二匹の虎」

若い虎達はよくなついている。 が、危険が一杯だ。 今は無邪気にじゃれついて、 私の顔に暖かい額をぐりぐりと押しつけて遊んでいるが 手元の肉をめぐって二匹の間で争いになるのは目に見えていた。 革ジャンの懐に隠し持った生肉がどっしりと重みを増してき…

「年末雷雨」

ワシャ長げえこと生きてきて、 こげなこた初めてだ、 クリスマスの翌日にカミナリとはのお。 雨は夜更け過ぎに雪へと変わるものだと 先代からさんざん聞かされていたが、 それがカミナリに換わるとはのお。 ホレ犬も怯えとる。 一緒に寝たいか? .

「竹垣の上で」

安土桃山時代風の女が揺れていた。 .

「穴」

大きな穴が掘られている。家の前で。(倒置法) ところで、掘られた穴の大きさに比べて どうみても外に出された土の量の方が多く見える。 掘る前の土と、掘り出された土とでは、その密度が違うから当然だ。 でも、どうしても納得できないほどの量なので どこ…

「ヒグマ」

「軍曹!軍曹じゃありませんか!」 私の声に、米陸軍第18歩兵部隊軍曹ロバート・J・スタニスラフは ぎくっとしたような表情で立ち止まった。 本人は変装しているつもりらしいが 羽織袴に革靴では、かえって目立つばかりだった。 「俺はもう退役したんだ」 軍…

「ぶべし」

マーベラー岸にとって 毎朝のゴミ出しは、儀式だ。 きのう一日を生きた証を、袋につめて清算するのだ。 今朝のゴミは、脱脂綿と犬の毛。 そのゴミ袋を開ける人のために、 マーベラー岸はメッセージを同封するのを欠かさない。 幾重にも折った紙片に、彼は今…

「ヘルメットから」

毛 .

「犬と戦った」

犬は、ドアの隙間に足をこじ入れるという押し売りのテクニックで強引に家に入ろうとしている。玄関のホウキという古典的な武器で対抗したが、いとも簡単に咬み砕かれて侵入を許してしまった。これはやばいぞ。例のスイッチを入れるしかない。カチッ 肉弾戦に…

「川」

三本の川を渡って故人に挨拶を。 馴染みのない川を渡るごとに、自分の所在無さが浮き彫りに。 途中、道に迷って帝釈天に出会った。 「お前の行くべきはこっちじゃない」 そう言われて上りホームへ引き返す。 挨拶を済ませたあと、 自分は帰りたいのか帰りた…

「今日のマイルール」

「落ち葉を踏みながらのチャリンコ走行」 俺が認めた落ち葉だけををタイヤで射止めながら 乾いた音の点を結ぶルートでGO HOME。 名付けて「ハッパフミフミ走法」 プラタナスは楽だけど、ケヤキには手を焼いた。 .

「猛抗議」

明らかにデザインをパクられた。 私は事務局に押しかけ、猛抗議した。 しばらく押し問答を繰り返していたが、 そうしている内に、ふいに、 実はそのデザインが自分でもパクっていた物だったことを思い出し、 素早く引き上げた。 .

「有楽町で」

背後から、おばちゃんに 「あんた、パンツが裏返しよ」 と言われた。 .

「どぜう」

ドジョウ鍋を食べた。 しかしどうしても箸でドジョウをつかめない。 何匹も床に落としてしまった。 やっと掴んだドジョウはまだ冷たく、喉の奥で踊った。 昨日のおでんも冷たかった。 このところ電子レンジの出力が落ちている。 .

「ピンクの船」

ピンク一色に塗られた船で島へ渡った。 船頭は自慢気に船底の窓を開けてみせた。 船底窓に貼られたアクリル板も透明ピンクだったので 海の中もピンク一色だった。 手が届きそうなピンクの海底で、 誰かが落としたコンビニのおにぎりがピンキーに漂っていた。…

「焼鳥屋の十戒」

焼鳥屋の常吉は、熱心な信者だった。 より多くの人においしい焼き鳥を食べさせるため、 店を妹夫婦に任せて、毎日屋台カーを運転した。 ある日の、渋滞した高速道路。 進まない車列にイライラを募らせ、心が狭くなっていた常吉。 中央車線でハンドルを叩きな…

「頼もしいアンテナ」

「早くここを出よう、長居は無用じゃ」 友人にせかされて、病院を後にした。 来た道を戻ろうとしたが、迷ったせいで方向がサッパリ分からない。 夕暮れの街の中を、やみくもに車を走らせ何度も角を曲がっていると、 ふいに白い光に満ちたコンビニが現れた。 …

「分岐点」

手元にある一冊のノート。 「分岐点」と題されたその文章の書き手は、確かに自分自身だと感じる。 だが一方で全く知らない人の物語を読むようでもあった。 それは、およそけったいな内容のせいだ。 14才までに何度か出会ってきたた大きな「分かれ道」。 そこ…

「字面」

「看護婦さん、地図は?この辺の地図はありませんか?」 「地図は無いが、地図の載ってる文集なら売っとるでの」 仕方なく売店でその文集を買い求めた。 それはどこかの中学校の卒業文集で、表紙には「珍竹林」とある。 生徒それぞれの手書き原稿を複写製本…