2016-01-01から1年間の記事一覧
その少年は 峠のコーナーから唐突に現れた。 全身をモルタルで覆っている。 それも、まだ生乾きで濡れていた。 それだから歩けるのだった。.
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朝のコンビニは ペール・トーンの車で埋め尽くされる。 。
部屋にライオンが入って来たので 剣を持ってきてくれと頼んだところ 斧が届いた。 .
私はオリンピアのセレモニーでダンスを踊っている。 もちろん振り付けがまったくわからないので、 前の人が踊っているのを必死で真似するのだが かなりずれてしまうのは いろんな理由でどうしようもない。 .
その昇降ボタンを押すのは一週間振りだった。 遠出から戻った車を地下の車庫に入れるためだ。 それにしてもこの世に 立体駐車場でパレットが上がって来るのを待つ数分ほど 退屈な時間が他にあるだろうか。 チェーンが巻き上がる音にあわせて数を数えてみたり…
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丘の上のカツ丼屋さんでは カツだけでも売ってくれるというから 評判のカツを買いに行ってみた。 味は最高だが領収書を書くのは苦手だった。 .
湿気で塗装がカブるので 今夜は朝まで抱いて温めるしかない。 ,
濡れた道路の音で目が覚めた。 .
新入社員は彫刻刀の刃を研ぐ。 フランス語の歌をうたいながら。 .
部屋の掃除機鳥の具合がどうも良くないようで さっきから同居している鷺が その吸い込み口をさかんについばんでいるというのに ずっとおとなしく身を任せたままだ。 余程のことなのだろう、 無言の視線を何度もこちらに投げかけてくるので 思い切ってフック…
ブレーキの仕組みが知りたくて、 登山鉄道の車両の下にもぐり込んだ。 始発を待っているその車両からは まだ真新しいオイルの匂いがして 枕木の下に敷き詰められた砂利に寝そべって 下から見上げると いろんな鉄のパーツがピカピカに輝いている。 鋳物製の弁…
何とか無事にセミナーを終えることができた。 挨拶を済ませ、見送りを断り、身支度を整えて玄関まで進み 靴を履く段になって、 自分の靴が見当たらないのに気がついた。 三和土には、 無数の靴が履きすてられ乱雑極まりない状態だったが、 どの参加者も難な…
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新しく担当になった銀行員のバイクは エンジンがアンプだった。 .