dobochon’s diary

宮原清の夢日記

2008-01-01から1年間の記事一覧

「円盤男」対「壺女」 “Disk man” VS “Jar woman”

「運河・火事・朝」 Canal, fire, and morning

.

「吊り橋」 Suspension Bridge

ひと月がかりで、やっと吊り橋が完成した。 魚の骨で作ったのだ。 コツコツと。 .

「シャッター」 Shutter

そのシャッターは優に3階分の高さがあった。 古い木造の建物には不釣り合いな大きさだ。 錆びついたシャッターの持ち手に手をかけると、 そいつは意外にも軽やかな音をたてて 一気に上まであがった。 それからおそらく3秒で、冬がきた。 .

「発毛」 Trichogenous

最近ちょっと気を抜くと舌から毛が生えてくるようになった。 そうなると口の中が毛だらけでうまくごはんが食べられない。 .

「紅のカウンター」 Red counter

「視線」 Line of vision

さっきから感じていた視線は、 つまみの煮干しからのものだった。 .

「月光」 Moonlight  

ふかふかした厚い落ち葉の層に体重を吸いとられながら 竹やぶをずっと進んでいくと ぽっかりと月明かりに照らされた場所に出た。 トラックが、ゆっくりと落ち葉の下に沈んでいくところだった。 時折、風で揺れる竹の葉のざわめきに合わせるように 荷台に積ま…

「氾濫」 Flood

氾濫した風呂のお湯は荒れ狂い、 湯船からあふれ出して嵐の海のようにうねりだす。 こうなってはもう誰にも止められない。 栓を抜くしかなかった。

「トルソ」 Torso

幼なじみのヨシザワが営む仕立屋。 小さい店ながら ヨシザワの絶妙な縫製技術に惚れた固定客も多い。 そんな彼が、オリジナルのトルソを作りたいという。 これは半端な気持ちで作れる代物ではない。 俺は彼の愛に応えられるのか?

「海岸線」 Coastline

この海岸線には見覚えがある。 関東地方だ。 ただし、裏返っている。 おれはその海岸線を、タクシーに乗ってひた走る。

「カメ」 Turtle

校庭にカメがいる。 サッカー部にいじめられているのだ。 助けに行く前に、カメは高速で去ってしまった。

「落ち武者」 Defeat soldier

夕方になると落ち武者が現れるようになった。 そして言うのだ。 「もっと働け」と。

「赤のトーン」 Red tone

川沿いの鉄工所や鋳物工場がはき出す鉄粉が この町を赤く染め上げた。 そこに沈む夕日が完成させる完璧な赤のトーン。 .

「本日の商品」 Today’s goods

サンドイッチ型ケイタイ。 運転しながらでも取り締まりを気にせずケイタイを使える。 聞くでもなし・喋るでもなし・食べるでもなしといったポジションで 口をもぐもぐさせながら顔に添える。 一部が食べられているデザインがミソ。

「駐輪場」 Bicycle-parking space 

管理組合役員の面々にとって 駐輪場不足は国際問題よりはるかに重要なテーマだ。 加えて先週、ラックに入りきらない放置自転車の山の中に ハクビシンが住み着いているらしいことが 監視カメラの映像から判明する。 とりあえず俺は明日から ハクビシンの生態…

「駐車場」 parking lot 

契約している駐車場の番号を忘れてしまった。 いつも目印にしている隣の車が今日は不在だったので・・で、適当に停めた。 星の番号に。.

「湧水」 Spring water 

この秋、さいかち窪に久し振りに池が湧いた。 それは夏に雨が多かった年にしか姿を現さない黒目川の源流だ。 普段鬱蒼としていた雑木林が一変して、言いようのない潤いを帯びる。 その水位に浮かんだまま、 武蔵野のかすかな土地の起伏をしばらくの間堪能し…

「ねじれた毛布」 Twisting blanket  

今の季節、毛布のねじれ方は一年を通じて最もすさまじい。 寒くてふいに目覚めた暗闇の中、 暑くてはだけた毛布の四角を回復する様は きっと曲芸のようだ。.

「第二理科室-6」 The second science room-6 

卵の数が減ったのは、ニワトリが産卵しなくなったのではなくて 俺の与えたゆで卵入りの餌によって味を覚えたニワトリが 自分の産んだ卵を食べてしまうようになったのが原因だった。 夏の終わりのある日に、生物教師の妙子は突然失踪した。 理由は生徒には知…

「第二理科室-5」 The second science room-5 

妙子のお気に入りは、つがいのチャボが産む有精卵だった。 白色レグホンの卵よりひとまわり小さく、殻の色も濃い。 その黄身が「すごく濃いの」という妙子の言葉は、 俺に自分の行為の矛盾を気づかせる暇を与えなかった。 俺はひたすらゆで卵をニワトリに与…

「第二理科室-4」 The second science room-4 

妙子がどういうつもりで卵を買ってくれるのか分からないまま とにかく俺は毎朝卵を届けた。 やがて俺は妙子にもっと喜んでもらえるように ニワトリ達に今よりたくさんの卵を産ませたいと思うようになった。 ニワトリの餌は近所の八百屋で貰ってくるダイコン…

「第二理科室-3」 The second science room-3

「あなた、たしか飼育部の部長ね」 ソファに座ったまま顔だけをこちらに向けて、妙子は言った。 「鳥小屋でニワトリに餌をやっているのを見かけたことが、ある。 あなたのニワトリは毎朝卵を産むの?」 俺が黙ってうなずくと、 「卵を持ってらっしゃい。買っ…

「第二理科室-2」 The second science room-2

穴には垂直に降りる階段梯子がついていた。 それを伝って底まで降りきると、そこからは かがんでやっと通れるほどの横穴が水平に伸びていて 奥にぼんやりと明かりが見えた。 そこは位置的に第2理科室の準備室のちょうど真下あたりのはずだが 地下室があるな…

「第二理科室」 The second science room

第2理科室が入っている校舎は、 通常の教室からは少し離れた敷地の片隅に忘れ去られたように建っている。 そこは、穴だらけのトタン屋根のついた渡り廊下によって かろうじて学校生活と繋がってはいたが、 たとえ準備室から漂ってくるホルマリンやアルコール…

「グランドのドラマー」 Drummer in playground 

校舎に挟まれた芝生の上で、 各国のブラスバンド部が競い合う。 窓には鈴なりの生徒たち。 演奏が終わり、次のチームがセッティングを終えるまでの間は 前のバンドのドラマーが場を持たせるのがしきたりだ。 今、ドラムソロを演っているのは普段はまるでパッ…

「頭突き」 Head butt  

生まれてはじめての頭突きに失敗した。 こっちのダメージの方が大きかったのだ。 ひとまず橋の下に隠れて様子をうかがうことにした。

「パーティーと拳銃」 Party and gun

「お嬢さん、なかなかいい拳銃を持っているな。 その拳銃と、この馬だらけのパーティー券を、交換しないか?」 「それは“馬がひしめき合ってるパーティー”の券、なの? それとも、“馬の絵で埋め尽くされたパー券”なの? 返答次第では引き金をひくことに」

「おばちゃんのおにぎり」Aunt’s rice ball

「おにぎりを作っといたよ!」 と、おばちゃん。 「2ヶ1組だよ! 白・シャケ。 黒・ゴマ。 白・ゴマ。 黒・シャケ。 白・黒、だよ!」 「ゴマ・シャケはないの?」 と、俺。 「そんなこた気にしなくていいんだよ!」 と、肩紐を直しながらおばちゃん。

「新しい姿勢」new pose

有史以来一度も変わることのなかった男の立ち小便ポーズが、 「床の飛沫は男の責任」というスローガンの元に今、存続の危機に晒されている。 きれい好きの男は進んで便器に座すようになり、 女たちは何故男供がこれまでそうしてこなかったのか不思議で仕方な…