2012-01-01から1年間の記事一覧
タワーが燃えている。問い合わせると ロックコンサートの演出だそうだ。 .
踏切に 布団を敷いて ねていた。 .
自転車レースに出場。 高台のコースを走りながら右手を見ると 球場が取り壊された跡がぽっかりと穴になっていた。 .
詰まるところ建築家にとって大事なのは 歯の強さだということだ。 高い梁に噛み付いたまま ぶらさがり続けなければならないから。 そして今、俺の腕には 建築家志望のウサギが 噛み付いている。 .
岬の炒飯店は、一席のみ。 サシの勝負だ。 .
俺たち、歩いて海沿いの古い温泉街までやってきた。 ごちゃごちゃと旅館が立ち並ぶ谷間に 歩いてでも渡れそうな巾の、一本の川。 白砂に緩やかなエメラルドグリーンの流れがまぶしい。 そこにゆっくりと、 海賊船を模した巨大な観光船が入ってくる。 .
友人たちと雨の中をずぶぬれになって歩く。 絡み合いながら、ドングリの帽子を被って。 だれかがいった。 「俺たち、アリん子みたいだな」 それで、皆が一斉に足を揺らし始めた。 アリみたいに。 .
自分は紺色のニットを着ていた。 肩パッドが恥ずかしいほどに盛り上がっていて まわりからじろじろ見られているのは知っていたが どうしてもアーモンドを食べるのをやめられなかった。 .
車両は急勾配をゆっくりと進んだ。 まわりには建物とも街ともつかないような空間が 遥か彼方まで続いている。 やがて空が見え始め 幾重にも線路が絡んだ上層階へ出た。 そこには巨大な黒尽くめのひとつの建物。 壁面には「秘密」という文字が掲げられている…
途中で降りる勇気もないまま行き着いた乗り継ぎ駅は どんづまりだった。売店の奥には巨大建造物の柱が見える。 そのエロチック柱は、高すぎて上まで見通せない。ここで車両は直角に折れ曲がって 急勾配を登る登山電車に姿を変えた。アーモンドのおかげで、 …
はじめは新しい駅が造られているのかと思った。 最近出来たばかりの地下鉄と連絡するために。 自分は、いつもそうしているように 開閉ドアの手すりの内側に身をはさむようにして 隣の男の肩越しに流れる外の景色を眺めていた。 急なカーブに沿ってホームプレ…
高台に残った廃屋を見つけて 友人達と住み着いてから2週間。 外の騒ぎ声で目を覚ます。寝床にしていた二階の窓から下を見下ろすと 「あぶないから逃げろ」と村人たちが叫んでいる。窓から身を乗り出してあたりを見渡すと 廃屋のまわりはすっかり土地が崩れて…
秘伝の漬け物を求めて高尾山に入山。目的地までケーブルカーで15分だ。 .
山の手の三角地帯。 建物のドームが壊れて 中味がむき出しになっている。 そこにいつからか4匹の天使が住み着くようになった。 ブロンズ製で人間の大人よりひとまわり大きい。 なめらかな動きだ。 彼らはこの辺のこどもたちの格好の遊び相手だ。 こっちの土…
紫外線が見えるようになった。 .
二人一組で大きな梅干しを濡れた紙袋に入れる競技に出場する。 .
26階へ上がってきたつもりが 地下26階から1階に出ただけだった。 地上の光が眩しい。 .
国分寺の坂の途中に、手紙を売っている店がある。 古い切手に古い消印。私的な古い手紙だ。 俺宛の手紙もあった。 .
俺は思い切って転身を図り京都の学校に赴任することにした。 鞄と掛け布団を持って電車に乗り、 京都に着いたのは陽も落ちかけたころだった。 ホームに降りて鞄を電車に置き忘れたことに気がついた。 その鞄には全てが入っていたのに。 赴任先の学校の名前す…
そこじゃない、 ふたつ隣のペダルを踏まないと 進まないよ。 .
突撃の前に それを思いとどませるための授業のようなものがあるのだが それとてあまり効果はなく 一人か二人の若者がやっと止めるくらいだった。 やがて彼らはポツリポツリと席を立ちはじめ、 廊下の壁にかけられた灰色の鋳物の銃を手に取ると 力なく「ウワ…
自分と、外との境界を きれいに引こうとするのだが 自動選択ツールの設定が なんかうまくいかない。 .
空洞のめがねのつるを使って楽にしてあげる。 .
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ベランダの枇杷は 夜になると 新芽だけが青白く発光している。 蛍光灯に反応しているようだ。 .
造形の見地から料理を造ってみる。 米粉を延ばして四角に切り床にならべる。 その上にとれたての薄青色の葉脈を取り出して敷き詰める。 隣のレストランのシェフが興味深そうに覗き込んでいる。 「パイ生地です」というと 味見してくれた。 .
マングローブの樹上に潜んでいた鯛が ボンボンと水面に飛び込み始めた。 .
昼過ぎの旧青梅街道。 いつものように流れの悪い瑞穂の交差点の手前で、 俺はいつも以上に苛ついていた。 ずっと先に見える信号が青に変わってから、 その成果が現れるまでのどうにもならない時間を埋めるために、 ふと進行方向の右上に目をやると 布団屋か…
今日は一日中赤いレンガ塀の上で過ごした。 そこで出会ったモンゴル人の老人から、 あるブルーズのフレーズを教わった。 鍵盤の上で早く動きたがる右手を 左手でロックしながら弾くという奏法で。 .
友人と観光旅行へ行った。 バスは山ほどもある樹の下に停まった。 バスガイドに率いられてその根元に近づくと その樹の根は巨大な乳房で、 無数の豚たちが、自らの糞の池に浮きながら 乳房にむしゃぶり付いていた。 .