dobochon’s diary

宮原清の夢日記

2007-04-01から1ヶ月間の記事一覧

「青い谷」

教授の案内で古い地層の谷へ行った。 六角形の岩から成る連なりは、 古くには遠く大陸まで続いていたという。 その崖線に添うように細い歩道を降りていった。 1時間ほどかけて崖を下りきると、 青い堆積層が工芸品のような縞模様を見せている緩やかな谷底に…

「冷凍犬」

冷凍された犬が送られてきた。 だいぶ前に注文していたのがやっと届いたのだ。 木箱を開けると、大きな氷の固まりの中に黒い犬。 湯船してしばらく待てば、解凍されるはずだ。 溶けたら、まず散歩に連れて行ってやろうと思う。

「エー坊・その後」

エー坊は心を痛めていた。 「肉体に痛みを感じない男」として売り出そうとしたのだが、 テレビ局での大失態でその夢もあっけなく終わってしまった。 一人きりで、部屋の窓から外を眺める毎日。 そしていつものように結露した曇りガラスに指を這わせていたエ…

「水無川」

雨の雑木林は、すっかり日が落ちて、乗算の深いラベンダー色。 傘の柄を、古い水道の蛇口で作ったら面白かろう、などとぼんやり考えながら濡れた落ち葉を踏みしめていたら、クマ笹の茂みが途切れたあたりで、にわかに広大な川の流れを思わせる水音が聞こえて…

「レジの女」

そのスーパーの女と余市は、ただならぬ関係だった。 始まりはこうだ。 余市は、今のアパートに引っ越してから日曜ごとに近辺の商店街をあちこち回って店の品定めをしていたが、ある時ふらっと入った隣町の小さなスーパーで、たまたま並んだレジを担当してい…

「犬くぎ」

吊り広告のまずいレイアウトを、 焦点の合わない目で見るともなしに眺めている余市の興味は、 実は足元から伝わってくる振動にあった。 余市を乗せて高速で移動する車両を支える、ごつい車輪。 その下でなまめかしく光るレール。 そのレールを献身的に背負う…

「湿度」

余市の興味は「湿気」である。 湿気の実体とは、どんな形をしていて、その密度は果たして捕まえることのできるボリュームなのか。 余市は、風呂場の中で大量の湯気を産む為に失神寸前になるまで湯船に居座り、 その蒸気を部屋に解放するのが好きだった。 フ…

「チャンネル」

進行方向の空には嘘のようにドス黒い雲が立ち込めている。 正確にはドス茶色だ。黄砂をたっぷりと含んでいるのだ。 その下はきっと、どろどろとした雷雨。 ああ、今から あすこの真下に突っ込んでいかなきゃならんのかと思うと ワクワクしてきた。

「リニューアル」

出勤したら、事務所のレイアウトが変わっている。 窓向きなのが気に入っていた俺のデスクは部屋の中央に移動され、 元の場所には白いソファーと大きな趣味の悪い柄のクッションが置かれていた。 パソコンもモニターも見知らぬものに入れ替わっていた。 呆然…