dobochon’s diary

宮原清の夢日記

「犬くぎ」

dobochon2007-04-13

吊り広告のまずいレイアウトを、
焦点の合わない目で見るともなしに眺めている余市の興味は、
実は足元から伝わってくる振動にあった。

余市を乗せて高速で移動する車両を支える、ごつい車輪。
その下でなまめかしく光るレール。
そのレールを献身的に背負う無数の枕木。

こうして振動の先に想いを馳せているうちに、
余市の想いはレールを枕木に固定している犬くぎに行き当たった。
犬くぎは、長いものでは200mmくらい。
枕木がコンクリート化してきたから、犬くぎはバネ式の金具に取って替わられる運命だが、その存在感はまるでドラキュラに打ち込む杭のソレだ。

余市は思った。
「何て強そうなんだ、犬くぎ。」