2008-11-01から1ヶ月間の記事一覧
さっきから感じていた視線は、 つまみの煮干しからのものだった。 .
ふかふかした厚い落ち葉の層に体重を吸いとられながら 竹やぶをずっと進んでいくと ぽっかりと月明かりに照らされた場所に出た。 トラックが、ゆっくりと落ち葉の下に沈んでいくところだった。 時折、風で揺れる竹の葉のざわめきに合わせるように 荷台に積ま…
氾濫した風呂のお湯は荒れ狂い、 湯船からあふれ出して嵐の海のようにうねりだす。 こうなってはもう誰にも止められない。 栓を抜くしかなかった。
幼なじみのヨシザワが営む仕立屋。 小さい店ながら ヨシザワの絶妙な縫製技術に惚れた固定客も多い。 そんな彼が、オリジナルのトルソを作りたいという。 これは半端な気持ちで作れる代物ではない。 俺は彼の愛に応えられるのか?
この海岸線には見覚えがある。 関東地方だ。 ただし、裏返っている。 おれはその海岸線を、タクシーに乗ってひた走る。
校庭にカメがいる。 サッカー部にいじめられているのだ。 助けに行く前に、カメは高速で去ってしまった。
夕方になると落ち武者が現れるようになった。 そして言うのだ。 「もっと働け」と。
川沿いの鉄工所や鋳物工場がはき出す鉄粉が この町を赤く染め上げた。 そこに沈む夕日が完成させる完璧な赤のトーン。 .