dobochon’s diary

宮原清の夢日記

「虎河豚日報」3

画工班っていうのは、
主に隔週誌「がんす」の挿入画を描くための6人編成の部署で
ウナギの寝床みたいな編集室の奥深く、薄暗い一角に、
「常に臨戦状態」みたいな人たちが目を血走らせながら陣取ってる。
なんかものすげーむさ苦しい雰囲気で、
アタシは正直なるたけ近づきたくない。


彼らはそこに二十四時間体制で常駐してて、
いざ車両故障が起きたとの報告が入るや否や
狂ったようにその対象車両の図解を描き始める。


描くのは鉄道車両とか大型重機の全体像や
故障箇所の詳細イラストなんかなんだけど、
虎河豚日報では創立当初から写真は一切使わずに
“画像は全て手描き”という習わしが、ある。
なぜだかは知らない。
しかもその描き込み方が半端じゃなくすごい。
なぜだかはわからない。


その上「過去に使った画像は絶対に二度と使わない」っていう
わけわかんない掟があるらしくて、
事件がおきるたびにイチから描きはじめるので
そら時間がかかります。


過去の画像を使い回せば
早く仕事を終えて家に帰れそうなものだけど
そんな仕事っぷりを変えるつもりは会社にも本人たちにも毛頭ないらしくって
画工班の連中が家に帰るのは週に一度くらい。


だけどその異常なまでの描き込みが
ある種の人たちのハートをワシづかみにしてきたことも確からしい。
とはいっても、時代は流れる。
このところ「がんす」の売れ行きは
ガタ落ちだ・・・


さて今日は、校正がらみで
画工判の描いた鉄道車両の図解に
大幅な修正依頼をしなくちゃいけなくなった。


アタシの気分は泥水を入れたバケツみたいに重い。


.