「すいませ〜ん」
アタシは面倒ごとをさっさと片付けることにした。
「この電車の絵なんですけど、
ドクサ系じゃなくて実はトタカ系だったんで
描き直してもらえますかぁ?」
画工班の連中の視線が一斉にアタシに。
アタシは修正指定をぺらぺらさせて視線をそっちへ追いやった。
しばらくの沈黙の後、
画工班の班長、ズミ村が低く唸った。
「お前、この絵を描くのに何時間かかったか、知ってるか?」
きたきた、とんでもない時間がかかってるこたあ、よく知ってるよ。
だけどアタシの仕事はこいつ等のグチを聞くことじゃない。
「えっと、ちょっとわかんないんすけどぉ、
明日入稿なんでおねがいしま〜す」
そう言いながら、アタシはもう身体を半分翻して
自分の仕事場に向かって歩き出していた。
その途端、ズミ村の湿った手がアタシの手に絡みついた。
「なにすんのよう!!」
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