dobochon’s diary

宮原清の夢日記

「Cスタにて」



アナウンサーはこう紹介している。
『この方はそんじょそこらのおっさんではありません』


50歳前後のその男は、いかにも不慣れなところに来ちまったという感じで
所在無さげに自らを「エー坊」と名乗った。


『実はこちらのエー坊さん、痛覚を自在にコントロールできるんです』


カメラの前に、怪しげな器具が運ばれてきた。眼底検査器と万力が合体したような鈍いグレーの装置。エー坊はその器具に頭を預けた。
そのとたん、段取りを無視していきなり起動スイッチが入ってしまったらしく、丸みを帯びた突起ボルトが回転しながらエー坊の両こめかみを無慈悲に締め上げた。明らかにエー坊の表情が一瞬不自然に歪み、その後反転して笑顔になった。しかし、そのひきつった微笑みは、どうみても・・・


そのとき、照明さんが無言の叫び声をあげた。セットの壁が、ゆっくりと倒れて来たのだ。エー坊は、こめかみを器具に挟まれたまま壁の下に見えなくなった。



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