dobochon’s diary

宮原清の夢日記

「歌舞伎役者」


昨日は歌舞伎役者の家筋の友人、史介の家に泊めてもらった。

史介は、ちゃらんぽらんの限りを尽くしているような奴で、歌舞伎とは全く縁のない広告関係の仕事をしている。私はその仕事繋がりでよく史介と飲むのだが、昨日はつい終電の時間を過ぎてしまい、彼の家に泊めてもらったのだ。

明けた今朝、朝食に呼ばれると、広い板の間の上座に史介の父親である歌舞伎役者の御大が着物姿で座っている。会うのは初めてだった。松の絵が描かれた巨大な床の間を背にした御大は、まともに目を合わせられない程の威圧感を放っている。そこへ家族が一人ずつ現れ、御大の前に正座して順番に朝の挨拶をするのだ。御大はそれに対し無言でうなずくのみだった。
史介の番が来た。驚いたことに、史介が父親の前に進み出て挨拶をする仕草は、普段の史介からは想像もできないような、見とれる程に見事な立ち振る舞いだった。幼い頃から鍛え上げられたに違いない所作である。

そして私にも挨拶の順番がやってきた。えらく緊張しながらも何とか自己紹介と一宿一飯のお礼を述べた。すると御大が私の目を見据えてこう言った。

「君、歌舞伎やってただろ」