dobochon’s diary

宮原清の夢日記

「無能山」


無能山は、もともと風邪の谷の住人で、ふだんは滅多に姿を見せない。だが、この街で事件が起きたために、こうして現場の煉瓦造りの洋館にに呼び出された。近隣で何か不可思議な事件が起こるたびに無能山は呼び出されるが、それは、容疑者としてではなかった。無能山にはある特別な能力が備わっていたからである。それは現場のメしきりモの巧さだった。「今日もひとつ頼むよ」そう言う捜査員のコートのボタンが一つずつズレているのをあざとく見つけた無能山。すかさず捜査員に近づくと、古女房のような馴れ馴れしさでそれを直しながら言った。「どっこいどっこい」