dobochon’s diary

宮原清の夢日記

「焼きゴテ」


カマボコ職人のマイコーが、カマボコを持ってきてくれた。
マイコーの作るカマボコは最高としか言いようがない。
納得のいかないカマボコは全て海に帰しているという話から、その自信の程が伺えるが、そのせいで店先には多くてせいぜい10本くらいのカマボコしか置いていない。


私は去年、カマボコ板に屋号を刻印するための焼き印作りを頼まれた。
マイコー自らが、できあがったカマボコ1つ1つに、そのプライドを焼き付けるのだ。
マイコーのカマボコは本当に旨かった。


ある日、マイコーから細かく注文のついた細工用の焼きゴテの制作を依頼された。
マイコーは焼き印だけに飽きたらず、カマボコ板にハンダゴテで絵を描いていたのだった。
1本のカマボコに1枚の絵。その時々のマイコーの想いが込められる。
画題はその都度違った。風景画だったり、心象風景の場合もあった。
やがて印象派キュビズムを経てこの頃は抽象・アバンギャルドに夢中だという。


いつしかカマボコ本体よりも焼き絵の方がメインになり、
今では彼のカマボコを食べるのに1ヶ月待ちは当たり前となった。


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