dobochon’s diary

宮原清の夢日記

「パス-3」

描かれた放物線に手を加えると、別の放物線が誰かの手によって少しだけ変化する。それにまた誰かが反応して別のパスに修正を加える。その繰り返しが生む線のせめぎ合いが、微妙なバランスを図面に与えていた。それはまるで囲碁かチェスの対局を見るようでもあり、何かの計測結果をリアルタイムで表示するグラフのようでもあった。 しばらく向かい合っているうちに、放物線の動きは、中央にほぼ水平に引かれたガイドラインの傾き加減との相関関係にある事に気がついた。少しでもその関係を乱すような動きが起こるやいなや、たちまちそれを修正しようとする別の動きが起こる。漠然とした直感だが。どうやらその反応は「良心」に基づいているようだった。 この動く図面は、我々の世界を存続させるためのチャートであって、 わずかでも均衡を崩したら、その瞬間に世界は終わってしまうかもしれない。 世界中からログインされ、更新されつづける図面。それはこの世の命運が握られた図面なのだ。そう思うとマウスを持つ手から汗が吹き出した。アンカーポイントが青白く発光しはじめる・・・ その時、突然電話が鳴った。クライアントからのせかしの電話である。おかげで危うく激ヤバのワンクリックを図面にくれてしまうところだった。 「図面は明日の朝までに仕上げる」と答えておいた。