dobochon’s diary

宮原清の夢日記

「発掘」


工房の裏手の造成地で「すごいものが出た」と学者達が大騒ぎしている。
この辺りの土地は登記上は準工業地帯なのだが、お構いなしの宅地化が進み、ここ数年やたらとほじくり返されていた。さらに地形的には古い扇状地の下手にあるため、掘ればいろんなものが出てくるのだ。
食後の缶コーヒーを買いに行きがてら発掘現場を覗くと、ブルーシートの上に何かの動物の骨の化石が並べられ、それを囲んだ学者先生達の間で熱い議論が交わされている。俺は缶コーヒーをすすりながら一旦工房に引き返すと、充電ドリルを持って発掘現場に戻った。そして学者先生達を押しのけ、ブルーシートから眼窩の浅い頭蓋骨を取り上げると、その額に電ドリを突き立てた。
「ナ、ナニをするんだ、君!」
青ざめ、狼狽える学者達。 俺は不敵な笑いを浮かべながら、貫通した穴からちょちょ切れたグラスマットの切れ端が覗く頭蓋骨を連中の目の前に差し出した。
FRPだよ。形も幼すぎる」
この辺りでは、潰れていった造形屋も多かったのだ。