dobochon’s diary

宮原清の夢日記

「濡れた根っこは蜜の味」


洗面所を抜けると、米屋の会長が立っていた。ずぶ濡れで。
「今、店を改築中でね。屋根がまだなんだ」
店の方へ行ってみると、柱と梁、帳場のみを残して、壁も屋根もない雨ざらしの状態で営業している。商品は、米は大丈夫なのか。
「稲って奴は」
鼻の先から雫を垂らしながら会長は言った。
「まだ知られていない部分も多い。例えば、ここ。」
土中に残された根っこの、ある部分が美味いのだという。
渡された根っこをかじってみた。それは思いのほか乾いていた。
ナッツのような香ばしさと鮮烈な味。ウマい!
私はバリバリと音を立ててむさぼった。
全てが濡れそぼるブルーグレーの午後、口の中だけが原色だった。



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