2019-08-17 「絵画教室」 Painting class 踏み板を軋ませながら二階に上がると、天窓の空いた天井は斜めで、床はもっと斜めだった。イーゼルの脚で削られた床板の隙間から立ち昇るテレピン油の匂い。 そこら中が、古い石膏像やガラクタ、仏像や楽器などのモチーフで埋め尽くされていた。中には塑像の習作もあって、背中には作者の名前が掘られていた。 たむろす画学生達が飢えたような目でこちらを見ている。「あちこちの美術学校からかき集めてきたんだね」と聞いたら学生たちは黙って頷いた。