ここの現場では、俺は小僧も同然だ。
今日もステージ用の演出道具を取りに行くよう命じられ
美術室へ走るのだった。
「くれぐれも頭に失礼のないように」
ディレクターですら一目置いている頭とは
美術室のチーフで、こだわりの男だった。
今回のステージでは、水瓜割りが一つのモチーフで
巨大な歯車仕掛けの水瓜割り装置が頭の手で作られた。
頭のこだわりは、そこで使用する水瓜を
仕事部屋で栽培するところから始まる。
美術室の戸を開くと
水瓜だらけの美術室に吊るされた
ハンモックで頭が寝ていた。
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