俺の自転車には
ふたつのライトが付いている。
それはなぜかと聞かれれば
もともと付けていたやつが点かなくなってしまったので
新しいのを買って点かなくなったやつの隣に付けたのだが
そのときに点かなくなったやつを外すのが面倒くさくて
そのままにしていたので、ふたつ付いているのだ。
ところで、
点かなくなったライトってやつは、
自転車に限らず、
何かのタイミングで奇跡のごとく点くことがある。
今夜がまさにそれだった。
いつものように点滅モードの帰り道。
何気なく、点かなくなった方のスイッチに触れてみたら
何事もなかったかのようにLEDが点滅しはじめたのだ。
こうして図らずも新旧ふたつの灯りの共演が実現した。
ふたつの光の明滅は、
その間隔を微妙にずらしながら
濡れた路面に
小さな陰影を与えていく。
やがてそのズレが
いつしかお互いに惹かれ合うように縮まって、
まるで運命のように
ぴたりと時の焦点を結んだ。
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