古い宿の布団部屋。
延々と取り調べが続いたせいで、自分はすっかり参ってしまい、ついに寝てしまった。
フトンの中で目を覚ますと、枕元の机の上に、2枚の名刺が置いてあり
それぞれの裏面にメモ書きが添えられていた。
1枚は取り調べ官のもので、
寝てしまった自分に対する嫌味が書かれているようだが
あまりにひどい癖字で、まるで読めなかった。
もう1枚は宿の主人のもので、
目覚めたら風呂に入っても良いこと、
布団を押入れに戻しておくこと、
宿に代々伝わる画集を見たければ見ても良いこと、などが
丁寧に書かれていた。
しかし自分はまだひどく眠かったので、再び布団に入って寝入ってしまった。
ーーー(つづく)ーーー