建物の住人たちが、老朽化してしまったところを補修している。
ひび割れたり、剥がれ落ちたりしている壁に
漆喰をコテで塗り足す作業。
柱と壁の間にできてしまった隙間を埋めるのは何とかなるだろうが
垂直の壁から天井のヴォールトにかけては、
オーバーハングになっている上に三次曲面だから
コテで美しく仕上げるのはいかにも難しそうだ。
誰かから借りて来たらしいヘルメットを被った男が苦戦していたが
案の定、そこの箇所が上手く行かないようで
何度やっても漆喰を天井にくっつけられず、
床に、こぼした漆喰の山を築いていた。
よっぽど手伝いたいと思ったが、
ここで下手な手出しは無用だ。
自分は後ろ髪を引かれる想いで、1階に降りるエレベータに乗った。